関西LibreOffice勉強会&関東LibreOfficeハッカソンのレポート
この記事は、LibreOffice Advent Calendar 2013の25日目です。最終日ですが、面白そうなネタを思いつきませんでしたので、予告どおり勉強会/ハッカソンのレポートにします。
LibreOfficeコミュニティでの、各地でオフラインイベントのことは3日目に書きましたのでそちらもご覧ください。
12月のオフラインイベントは、「第5回関西LibreOffice勉強会」と「第1回関東LibreOfficeハッカソン」がありました。私は両方のイベントに参加しましたので、それぞれの内容を紹介します。
使い方からビルドまで、実践的で濃い内容が多かった第5回関西LibreOffice勉強会
関西LibreOffice勉強会は、関西のLibreOfficeユーザーが集まる場所として、関西を中心とした有志によって運営しています。私も企画当初からのスタッフです。2008年に関西OpenOffice.org勉強会としてスタートして、OpenOffice.org時代に10回まで、LibreOfficeになって今回が5回目です。
12月14日(土)に新大阪の住友電工情報システム株式会社の会議室をお借りして開催しました。 参加者は18名で、初参加の方も3名ほどいらっしゃいました。いつものように自己紹介タイムからスタートしてわりと和気あいあいとした雰囲気だったと思います。
4つのセッションは、ユーザーよりから開発、コミュニティまで幅広いトピックになりました。
野方さんによる「LibreOfficeのフラットODFとRedmine, Git(Gitolite, SparkleShare)で文書共有システムを作ってみた」は、LibreOfficeでドキュメントを作成した際に文書管理を悩みながら作ってみたお話でした。フラットODFではzip圧縮しないのでdiffを取る等もできバージョン管理しやすくなります。さらにSparkleShareでgitを使えない人でも共有できる仕組みにされたそうです。私もいつも文書管理をどうするかは悩むところですのでとても参考になりました。なお、この内容は、LibreOffice Advent Calendar 2013の17日目にも紹介されています。
荒川さんによる「「Base - Calc」でピボット分析」では、Calcのピボットテーブルを実際に触ってみるハンズオンでした。ピボットテーブルは使い方はわかるもののあまり便利さを実感していなかったのですが、具体例をみてなるほどと思いました。また、Baseを経由しておくことで、データの更新を自動的に反映させることができるとのことで便利そうでした。 なお、お話の内容は24日目の記事に書かれています。(というよりもこの記事を原稿としてお話されていました)
八木さんによる「LibreOfficeをWindows上でビルドする」では、Windows版ビルドする際にどのようなことを気をつけるかというお話でした。以前の勉強会で、OpenOffice.orgのWindows版ビルドについて西木さんがお話されたことがあって、大変そうという印象がありました。 LibreOfficeになっても、環境の構築が面倒だったり、バグが混入してビルドできないようになったり、エラーに悩まされたりと大変だったそうですが、LibreOffice 4.2ではずいぶんと楽になったそうです。このあたりの日本語情報は少ないのでありがたいです。資料が公開されていますので、今度試してみたいと思いました。
私は「LibreOfficeカンファレンス報告」として9月にミラノで開催された第3回LibreOfficeカンファレンスに参加した際のお話を紹介しました。今年は初めて会う人も多かったような印象を受けました。LibreOfficeプロジェクトも新陳代謝していて、少しずつ人も増えたり入れ替わっているのかもしれません。ちなみに、ミラノはおしゃれなイメージがあるようですが、そういう場所には縁がありませんでした。勉強会の後、少し修正したODPGでの発表版を公開しています
勉強会の最後にKPTで振り返りを行いましたが、今後のTryとして4つあがりました。次回以降にできればと考えています。 * 質問コーナーがほしい * ビルドの実演コーナーが欲しい * 登録されたバグの探し方 * バグスカッシュもいいかもしれない
勉強会のあとは、いつものように懇親会に行きました。今回懇親会参加者は13名でしたので懇親会参加率(13人/18人)は高めでうれしかったです。シーズンなのかお店がいっぱいで探すのに手間取りましたが、LibreOfficeやその他のお話で盛り上がりました。
今回も(私のはのぞいて、3名の方のは)内容の濃く、かつ実践的なすばらしいセッションだったと思います。どれも参考になりました。次回は3月か4月に開催できればと考えています。
開発者からユーザー、他のOSSのコントリビューターなど様々な人が集まった第1回関東LibreOfficeハッカソン
12月21日(土)と関西の1週間後に、東京・麹町のKDDIウエブコミュニケーションズの会場をお借りして行われました。
関東LibreOfficeオフラインミーティングが毎月平日夜に開催されていますが、土日バージョンとして開催されたものです。 主催者の小笠原さんによる英語レポートもあわせてご覧ください。 また、関東オフラインミーティングについては小笠原さんの14日目の記事もご覧ください。
今回のハッカソンは、特に決まったお題はなく、集まった人がLibreOfficeに関する作業を行うというものでした。LibreOfficeのUI翻訳をやっている方が多かったですが、バグ修正をされている方や、Pootleガイドを翻訳されている方、LibreOfficeのマクロを書こうとしている方など思い思いに作業していて面白かったです。
私はUIの翻訳をやってみました。LibreOfficeでUI翻訳したことがなく、OpenOffice.orgのころはレポートされた翻訳バグを修正する担当はしていましたが、自分で翻訳したことはありませんでした。翻訳の細かいルールやPootleの使い方のコツなど教えてもらって助かりました。
普段だと悩むところも隣の人に相談できますので、普段あまりやっていないことにチャレンジするにはハッカソンはとてもよい場だと思います。
小笠原さんはLibreOfficeでソースコードレビューに利用しているGerritの使い方を教えてもらっていましたので、次回以降のオフラインミーティングで発表されるのではないでしょうか。
出入りも自由でしたので、夕方には帰る方や途中で東京エリアDebian勉強会に行って戻ってこられた方、夕方から参加される方など合計で15名ほど参加されたと思います。
広々とした空間で、好きなところに座って作業できて気持ちよかったです。 ただ、スタート時にうまく場の雰囲気に入り込みそこねた人のフォローはできなかったという点は個人的には反省材料です。また、今回もバグトリアージの方はできませんでしたので、次回はやりたいと思います。
19時すぎからアルコールなどの買出しを行って、会場内でピザパーティでした。大きめのピザ3枚でしたが、13人で食べるとあっという間になくなりました。
また、最後には鎌滝さんからDropboxのようなファイル共有システムを作れるオープンソースのownCloudについての紹介もありました。ファイル共有だけでなく、編集機能もついているということでなかなか高機能でびっくりしました。ownCloudについては、kazken3が23日目の記事で紹介されていますね。
また、翌日12/22(日)は私がまだ東京にいるのでどうしようという話から、ミニハッカソンを企画していただきました。上野の喫茶店(ルノアール)で4人が集まって作業しました。テーブルがノートPCに占拠されて食べ物や飲み物が置けない状態で、周りからは変な人たちに見えていたことは間違いないでしょう。WikiやPootleなどのサーバーの調子がやや悪かったのですが、ここでもLibreOfficeのUI翻訳などを行いました。
まとめ
UI翻訳については8000近く残っていたのですが、2日間で2000くらい減ったそうです。ハッカソンでなければなかなかここまで集中して進むことはないと思いますので、今回の効果はあったと思います。 オンラインでは伝わりにくい、ノウハウの移転も進みやすい点も実感しました。また、人にもよりますが、集まって作業すると、何よりモチベーションにつながりやすいと感じました。
関東では今後もハッカソンを開催される予定とのことですので、今回面白かった方や逃した方はぜひ次回に参加してみてください。関西でも出来ればとは考えていますが、どこまで人が集まれるかはわかりませんので、思案中です。関西でもあったら参加するよという方がいらしたら、声をかけてください。よろしくお願いします。
関西と関東でそれぞれまったく異なるタイプのイベントだったのですが、LibreOfficeに興味がある/かかわりたい人が集まってワイワイできることはとても楽しかったです。来年も出来る範囲で活動していければと思いますので、興味をもたれたらぜひご参加ください。