Shinji Enoki's blog

LibreOfficeの話題を中心にする予定です

関西LibreOffice HackFest 2015-08-22を開催しました

2015年8月22日(土)に関西LibreOffice HackFest 2015-08-22LibreOffice日本語チームとして行いました。開催側の立場で、何をやったかを書いておきます。すぐ忘れてしまうので自分向けと、同様のイベントを企画する人向けのメモです。

LibreOfficeではプロジェクトの規模に対して開発者が少いことが課題の1つです。ちょっとしたパッチを書くにも、ビルドが面倒だったり、ソースコードのどこから読めばいいかわかりにくい、というハードルがあります。そこで開発に参加したい人向けに、ビルドやソースコードを読むイベントをやってみました。 f:id:shinji_enoki:20150822175433j:plain

ターゲットと企画の方向

ニッチな企画ですので、参加したい人がいるかをまず確認しました。参加したいといってくれた日本語チームメンバーでもある近藤さんを1人目のターゲットとして企画しました。 関西LibreOffice勉強会や毎月第三水曜日にJUSOコワーキングで行なっているLibreOfficeの日というイベントに来てくれるメンバでも、ビルドで止まっている方も2−3人いらしたので、ターゲットとして想定しました。

メンター

1人では乗り越えられないところを、経験者にフォローしてもらうイベントですので、メンターが大事です。日本では、LibreOfficeのパッチを書いている人はあまりいません。その中で、イベントに出てくれそうな安部さん、八木さんに相談して2人体制でいくことになりました。安部さんは遠方でしたのでSkype参加、八木さんが現地参加というフォーメーションです。 今回、八木さんは急遽都合が悪くなり、最終的には安部さんにSkypeでフォローいただきました。

会場探し

ビルドをするので長時間確保する必要があります。またソースコードのダウンロードなども想定されるので電源や回線が安定している必要があります。一方、参加者は10名を超えることはなさそうでしたので、サイズは気にしませんでした。腰を落ち着けて長時間使えるところ、電源とWifiが充実しているところ、という条件で探しました。

今回は、GMOクラウド大阪支社さんに協力いただき、GMOインターネットグループ 大阪オフィス内の会議室をお借りすることができました。Wifiも高速で安定していて、電源、プロジェクターなど設備が素晴らしく、助かりました。ありがとうございました。

当初は隣の広い「GMO Yours大阪」を押さえていただいていたのですが、振り替えて欲しいということで会議室スペースになりました。結果的には、会議室スペースの方がやりやすかったです。

企業の会議室はファシリティが素晴らしかったり、無料でお借りできる反面、ビルの入退室に制限があったり、社員の方に休日に出ていただく必要があります。 今回の会場は、フロアまでは上がれるものの、そこから先のドアは社員の方に開けていただく必要があります。途中で参加された1名の方からConnpass経由で連絡があったのですが、当初気が付かずに見逃すところでした。安部さんが気がついてくださって、事なきを得ました。前日夕方に携帯電話番号を伝えるメッセージを送っていたのですが、それ以降に申込される方もいらっしゃるので、次回以降も気をつける必要がありそうです。 なお、普段からコミュニティに出てこられるエンジニアの方に相談して開けていただきましたので、LibreOfficeのビルドも挑戦されていました。

f:id:shinji_enoki:20150822175525j:plain (部屋の外から会場の風景も撮ってみました。)

企画のつめ

毎週水曜日の夜に行なっている、日本語チームの定例チャットミーティングで進め方を相談しました。メンター側の安部さん、参加側の近藤さん、関東でHackfest開催されている小笠原さんがいらしたので、話が早かったです。私自身は開発者ではないこともあり、どのようにすればいいか最初はイメージしにくかったのですが、各自で取り組んでもらって詰まったところをフォローする形にしました。

申込ページ作成と告知

ConnpassのLibreOffice日本語チームのイベントとして立てました。ニーズを確認するために申込時に何をやるつもりかをアンケートを取っておいたので、大体どのようになりそうか想定できました。

告知はLibreOfficeの日本のメーリングリスト、関西LibreOffice勉強会メーリングリストFacebookイベント、Twttierの日本語チームアカウントでのツイートで行いました。また、興味ありそうな方にはお会いした際に口頭でお誘いしていました。 当初想定したターゲットの方が3名くらい来ていただければOKと考えていましたが、知っていれば行きたかったのに、というのは避けたかったのですが、なかなかリーチするのは難しいです。 Facebookイベントはどの程度認知されたかはわかりますので便利でした。初めましての方も1名いらして、Connpassで知ったとのことでした。

準備

Skypeアカウントを確認すること、Skype用にノートPCを1台確保しました。また、前日に個人的にビルドを試してみました。 隣の大きなスペースは他のイベントでお借りしたことがあり、ある程度会場の状況はわかっていましたので、下見はしませんでした。

参加者

最終的には現地で7名、Skypeでの安部さんを含めて7名でした。

当日スケジュール

ざっくりしたスケジュールしか考えていませんでしたが、結果的には以下のような流れになりました。

  • 14:00 会場に入ってセッテング
  • 14:30 自己紹介/今日やること発表
  • 14:35 安部さんのレクチャープレゼン
  • 14:50 各自作業開始(ビルドをしてエラーが出ると安部さんに聞く)
  • 17:00 買い出し、休憩
  • 17:?? 作業に戻る
  • 18:35 安部さんのコードリーディングプレゼン+質疑応答
  • 19:05 振り返り
  • 19:30 ビルド待ち、情報交換、ディスカッション
  • 20:00 終了。その後晩御飯行く

f:id:shinji_enoki:20150822170848j:plain (17時すぎ、疲れてきたので栄養分を補給してるところ)

やることを確認すると、みなさんまずはビルドをするという方ばかりでした。 1人で2台-3台持ってこられている方が多くて、複数台で違う環境でビルドなどされていました。

ビルドの様子

Ubuntu 14.04のみがノーエラーでビルド完了まで行けました。 それ以外は途中で止まって試行錯誤しており、ビルドが時間内におわらず時間切れというパターンが多かったです。マシンスペックにもよりますが最初にビルドするには3-4時間はかかります。

Linux Mintは必要なパッケージが多くて、ビルド以前のautogen.shをクリアしきれなかったようです。

やってみてのあれこれ

現場にいれば、すぐにノートPCを覗きこめて便利なのですが、今回はリモート先のメンターに対して、ログをWebやDropboxへアップしてIRCでURLを伝えるという形でしたので、ひと手間かかりました。

Skypeはトラブルを覚悟していましたが、 1度回線が切れたくらいで安定していました。Skypeに繋いだマシンをプロジェクターで映しっぱなしにしておきました。お互いにビデオを流しっぱなしで様子がわかる状況でした。 PCはThinkPadのT430を使い、マイクとスピーカーなしでもほぼ問題なかったです。カメラはPC付属でなくWebカメラで会場の様子が相手に見えるようにしました。

画面共有を使ってプレゼンしてもらったのですが、プロジェクターの性能がいいこともあってクリアでした。 f:id:shinji_enoki:20150822183734j:plain

安部さんからビルドの話とコードリーディングの話を2回プレゼンいただいて、イメージをつかむのに良かったように思います。2度めの後はみんなビルド中ということもあり、質問大会にしました。

うまく進んだ人、進めなかった人もありますが、全体としてはナレッジが大分共有できたように思います。 まだ、解決できなかった人もいますし、次回も企画したいと考えています。

振り返りKPT

Keep

  • やったことなかったが、開催できてよかった
  • 思ったよりもニーズがあった
  • わいわいやって楽しかった
  • 集まってやると、エラーが出ても心が折れにくい
  • 回線が安定していたのがよかった
  • Skype経由でもある程度はできるということがわかった
  • 運営に特化したので、技術的でない部分のフォローが出来た
  • メンター2名体制だったので、1名が来られないトラブルでもイベントは成立できた
  • 2台マシンを持っていったのでSkype用と作業用に分けれた
  • 参加者が複数台持ってきてくれて複数環境でやれた

Problem

  • ビルドまでいけたのが1人だけだった
  • git cloneするのに時間が取られた makeは成功していなくても、そこまで終わっていると早かった
  • すばやくフォローするには、現場にいるメンターが欲しい
  • 事前にこまめな連絡をしきれなかった
  • 当初IRCに入るのを忘れていた
  • ビルドの時間待ち時間をもう少し有効に使えたかも

Try

  • 出来れば同じ会場をお願いする
  • 会場で参加できるメンターも確保する
  • 手順を送っておいて、git cloneまで済んでいる人を増やす
  • ソースコードリーディングの次の一歩を。手を動かしてソース読んでいくのもよいかも