Shinji Enoki's blog

LibreOfficeの話題を中心にする予定です

The Document Foundationの運営の仕組みについてのメモ

LibreOfficeを支える団体であるThe Document Foundation(以下TDF)のメンバシップコミッティー選挙がありました。私もTDFメンバなので投票する権利があるのですが、投票する前に規約などを読み返したのでメモしておきます。間違っていれば指摘いただけるとありがたいです。

TDFはLibreOfficeコミュニティを支えるために、LibreOfficeコミュニティのメンバによって設立された非営利団体です。ベルリンに拠点を起き、ドイツの法律に基づいた法人です。

以下に簡単にメモを書きますが、詳細はTDFの規約を参照ください。

TDFは、規約上は、Board of Directors(以下BoD)、Board of Trustees(TDFのメンバのこと)、Membership Committee(メンバシップコミッティー)の3つからなっています。

Board of Directors(BoD)

BoDは、理事会や取締役会と言うべきもので、ガバナンス上の意思決定を行います。お金などの資源管理、予算や会計、年次報告の作成などに責任を持ちます。もちろんBoDメンバが個々のタスクを行うという意味ではないです。LibreOfficeのイベントをやるときにスピーカーなどの旅費申請をすることがありますが、ここが承認します。一方で技術的なことにはタッチしません。技術面はEngineering Steering Committeeで決定します。TDFのメンバであれば立候補でき、、TDFメンバによる投票で選ばれます。任期は2年です。7名のメンバと3名のDeputies(代理人?)からなります。

どうでもいい話ですが、ここにプロフィールが書いてあって便利です。Marina(マリーナ)がStudio StortiからCIBに転職したことにいまごろ気が付きました。だいぶ前にミュンヘンに引越ししたので転職したんだ、とは思ってましたが。 f:id:shinji_enoki:20180905010829j:plainLibreOffice Conference 2017, Rome ItalyでBoard of Directorsメンバが紹介されているところ。立っている人がBoDメンバですが、なぜかマリーナだけ右端に座ってます)

Board of Trustees

Board of TrusteesはTDFのメンバを指しています。入会資格は誰にでもあります。入会の条件としてはTDFの目標に向けて検証可能な活動を3ヶ月以上した人で、今後最低6ヶ月以上活動する意志がある人です。もちろん、礼儀正しさや寛容さ、オープンな精神は求められます。運用上、活動を確認できる2名以上のTDFメンバ(ある種の推薦者だけど、確認できればOKのよう)か別の確認方法が必要だったと思います。メンバシップは毎年更新され、どんな活動をしたのか、どんな活動をするつもりなのかを毎度聞かれます。Webのメンバリストを数えると195名います。ただしこのリストは3ヶ月に1回程度しか更新されません。

Membership Committee

Membership Committeeは会員の入会や継続の手続きを行うことと、BoDの選挙管理を行います。もめた時にBoDの弾劾も出来るようです。TDFのメンバであれば立候補でき、TDFメンバによる投票で選ばれます。任期は2年です。3人以上の奇数人数で構成され、TDFメンバの10%が人数の上限です。Executive Boardが選挙管理するそうです(Executive Boardって?BoDが選挙管理するはず)。BoDほど忙しくはなさそうですが、これも重要な役割です。そういえば、会員更新手続きを忘れていた時に、更新しないの?とMCのメンバがSNSで聞いてくれたことがありました。

Advisory Board

Advisory Boardという機関もあり、名前の通りアドバイスや提案するためのグループです。決められた金額の年間寄付をした組織と、他のFLOSSコミュニティで構成されています(たぶん他のFLOSSコミュニティからは寄付は受けてないと想像していますが、調べていません)。TDFの収入は、個人からの寄付と、このAdvisory Boardメンバ組織の寄付からなります。組織の規模によって金額が違います。また、雇用している認定LibreOffice開発者によっても金額が違ったと思いますが、今は金額を見つけられませんでした。

特定の組織による支配をさけるため、BoDやMembership Committee、Advisory Boardは、同じ組織に雇用されている人は1/3までというルールもあるようです。

もう情報が古いのですが、TDFの組織というページもあります。

BoDやMembership Committeeの選挙システム

候補者を1人選ぶのではなく、複数人に投票できるMeekメソッドを利用しています。(Wikipedia:単記移譲式投票) 今回のMembership Committee選挙だと10名の候補者に対して、最大9名まで投票することが出来るようになってました。少なくても5名は必要で、最大4名のDeputiesが選ばれるそうです。いまいち人数をどう計算しているのか理解できていません。 投票するには、TDFメンバ向けに送られてきたメールにしたがって、投票用のWebサイトにアクセスしてメールアドレスと投票トークンを入れて認証します。投票時には、選んだ順番も意味がありそうですが、アルゴリズムを理解しきれてないです。Gnome Foundationの投票システムを使わせてもらっているようです。

TDFメンバになる方法

申請フォームから申請します。継続的に活動している人であれば、どんな貢献をしたか、それを確認できるアカウント名などをちゃんと書けばOKです。日本人は4名しかしないのですが、活動していているのに申請していない人が多いことが理由です。ちょっと面倒かもしれませんが、活動しているならメンバになってもらえるとうれしいです。

f:id:shinji_enoki:20180905010831j:plain (おまけ。LibreOffice Conference 2017, Rome ItalyでTDFスタッフが紹介されているところ)