Shinji Enoki's blog

LibreOfficeの話題を中心にする予定です

LibreOfficeを使うときに知っていると便利な7つのこと

LibreOfficeは豊富な機能を持ったソフトウェアで、全部を使いこなしている人はいないだろうと思います。この記事では、私が知っていると役立ちそうと考えたLibreOfficeの7つのことを紹介します。 1つ1つは基本的なことですが、これを全部やるのとやらないのでは便利さはだいぶん違ってくると感じています。ブース出展や勉強会でお話していると全部は知らなかったという方も多いので、費用対効果の高そうなものから選んでみました。

この記事はLibreOffice Advent Calendar 2018 の2日目です。1日目は小笠原さんの「LibreOffice Conference 2018 Tirana 裏レポート」でした。

目次

  1. スタイルを使いこなす
  2. サイドバーで設定をする
  3. Impress:マスタースライドで複数スライドで共通部分を作る
  4. Impress:アウトラインモードで編集する
  5. Drawで図形を描いて、Writerなどにコピペする
  6. ヘルプを検索する
  7. LibreOffice onlineと役割分担する

1. スタイルを使いこなす

スタイルとは、文書での見た目の部分についてまとめて設定する仕組みです。Webでスタイルシートと呼ばれているものと同じです。たとえば、各段落に対してフォントの種類やフォントサイズを直接指定した場合、段落の数が多いと設定や変更が大変です。多くの場合は書式がバラバラになってしまい読みにくいものになります。そこでスタイルに書式を設定しておいて、段落などに対してそのスタイルを指定することで楽にミスも少なく編集できます。中身のコンテンツと見た目の設定を分離するという文書の構造化という考え方があり、LibreOfficeだけでなくオフィス系のソフトウェアはだいたいそれにそって作られています。

LibreOfficeでは、どのアプリケーションでもスタイルを使うことが前提になっています。スタイルを使っていなければ使えない機能もあります。例えば、Writerではページの設定はページスタイルで行いますし、見出しスタイルを使うことで、目次を自動生成&自動更新したり、ナビゲータで移動できます。Calcでは条件付き書式設定でスタイルを使っています。

Writerでは6種類のスタイルがありますが、基本は「段落スタイル」と「ページスタイル」で、この2つを使いこなせれば十分だと思います。スタイルの使い方については、野方さんの第6回関西LibreOffice勉強会のスライド「スタイルを使ってレイアウトをかっちり決めよう」も参考になるでしょう。

Calcでは「セルスタイル」と「ページスタイル」の2つのみです。合計の列を色を付けておくなど、セルスタイルで定義しておくと便利です。

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去年のカンファレンスレポート記事の原稿でスタイルを使っている図。今見たら、最初の段落に適用するスタイルは、見出し1でなくてタイトルの方がよかったですね...

2. サイドバーで設定する

LibreOfficeでは、右側にサイドバーがあります。ここで様々な設定ができて便利です。私はサイドバーを使い始めてからは、メニューやツールバーのボタンを使うことが劇的に少なくなりました。Writerの場合、「プロパティ」「ページ」「スタイル」「ギャラリー」「ナビゲータ」の5つを切り替えることが出来ます。「プロパティ」は、文章やオブジェクトなど現在選択しているものによって、設定項目が自動的に切り替わってくれてとても便利です。「スタイル」では先ほど説明したスタイルを設定します。CalcやImpressなどでもWriter同様、サイドバーを使うと便利です。また、サイドバー自体は表示/非表示を切り替えることもできます。

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サイドバーを表示させているところ。文章入力モードなのでフォントなどのプロパティが出ています

3. Impress:マスタースライドで複数スライドで共通部分を作る

Impressで発表資料を作る場合には、ヘッダーやフッター、背景、スライドタイトルの位置など、各スライドの内容は統一することが多いと思います。その統一的な設定を「マスタースライド」で設定しておくと便利です。一括して設定/変更する時に威力を発揮します。

マスタースライドを設定したい場合は、メニューから[表示]-[マスタースライド]を選択して呼び出します。標準モードに戻るには、メニューから[表示]-[標準]を選択するか、ツールバーで[マスター表示を閉じる]ボタンをクリックします。

スライドに適用したい場合は、サイドバーの「マスタースライド」を選択し、使いたいものをクリックします。その時に右クリックから全部のスライドに適用することも出来ます。

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マスタースライド画面(LibreOffice Conference 2018の発表者用テンプレート)

4. Impress:アウトラインモードで編集する

発表資料を箇条書き主体で作るケースには、アウトラインモードが威力を発揮します。レベルの上げ下げで、スライドタイトルにしたりスライドの中身に変えたりもできます。また、順番を入れ替えることも容易です。私はテキストエディタで箇条書きでスライドタイトルを並べていって、そこからImpressにコピペしてアウトラインモードで追記、調整することもあります。

アウトラインモードに切り替えるには、メニューから[表示]-[アウトライン]を選択します。

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アウトラインモードでみたところ

5. Drawで図形を描いて、Writerなどにコピペする

Writerなどでは図形を組み合わせて描いていると、図形が変なところにずれたり図形の配置を簡単に揃えられなかったりします。図形を描くにはDrawが適しているため、Drawで描いてコピペで他のアプリに貼り付けると便利です。今後も図形をメンテナスしそうな場合はコピペ元した後に、Draw形式で保存しておくといいでしょう。Drawでは(Impressでも)ツールバーの「配置」ボタンを使って簡単に配置を揃えることができます。

6. ヘルプを検索する

メニューなどにある知らない機能を調べたい場合や、操作方法が思い出せない場合にはヘルプが参考になります。LibreOfficeでは基本的には全機能についてヘルプを作ろうとしています。たまに開発者が忘れていたためかヘルプがないこともありますが、多くの場合ではあります。組み込まれているヘルプを見るほかに、同じ内容がWebサイトにもありますので、Webの検索エンジンで調べる手もあります。

7. LibreOffice onlineと役割分担する

これは基本的な話ではないかもしれませんが、便利なので紹介します。LibreOfficeではWebブラウザで編集するオンライン版があります。品質面や機能面では完成されていませんが、割り切れば使えるレベルになってきました。ブラウザでみれるので、PCだけでなく、スマートフォンタブレットでチェックすることも出来ます。同時編集機能があり、議論しながら一緒に編集したいときには便利です。

LibreOfficeのデスクトップ版がバックエンドで動くので、デスクトップ版と基本的に表示は同じです。このように、GoogleDocsなどと根本的に思想が違うので、使い方も違ってきます。普段はデスクトップ版でファイルを作成・更新し、Nextcloudなどでファイルを自動で同期しておきます。他の人にチェックしてもらったり加筆修正をして欲しい時など、コラボレーションしたい時のみオンライン版を使うと便利です。

構築手順はLibreOffice kaigi 2018での村上さんの発表資料「LibreOffice Online 環境の構築 2018年版」も参考になると思います。

以上、7つを紹介しました。もし参考になる情報があればうれしいです。 明日のLibreOffice Advent Calendar 2018は荒川さんの「OfficeとWebAPIの未来」です。楽しみです。