Shinji Enoki's blog

LibreOfficeの話題を中心にする予定です

クリエイティブ・コモンズ勉強会2014.10開催しました

2014年10月28日(火)の夜にクリエイティブ・コモンズ・ジャパンなどで活動されている渡辺智暁さんをお迎えして、「クリエイティブ・コモンズ勉強会2014.10」を開催しました。懇親会で盛り上がりすぎて終電を逃してしまい、翌日帰る前に時間が出来たのでざっくりメモを書いてみました。

今回、19時から1時間のお話と1時間のQ&Aですが、18時ごろから渡辺さんが来られるということで交流時間を前にも入れました。

会場は鍵屋荘という京都の町家で、オープンデータ京都実践会ではミーティングなどにも利用させていただいてますが、なかなか雰囲気があってよいところです。畳に座ってできることもあり、距離感も近いので参加者も質問したりお話がしやすいです。参加者は18名くらいで、3つの部屋をつなげてもそこそこいっぱいでした。

渡辺さんからは4つのトピック(著作権、CCライセンス、CCライセンスの使い方、CCライセンスの作られ方)をお話いただきました。(※クリエイティブ・コモンズ・ライセンスをCCライセンスと省略して書いてます)

ウィキペディア日本語版の初期のころに関われて、その際に著作権やライセンスで苦労されたことがCCライセンスの活動につながるモチベーションになられたそうです。

CCライセンスはクリエイターに使ってもらいたいということで、専門性と分かりやすさのバランスが難しいというお話も興味深かったです。オープンソースライセンスではGPLv2日本語参考訳)は読みやすくて(個人的には)パッションを感じることができましたが、法的に厳密さを追求したGPLv3では分かりにくくなった、ということを思い出しました。

多様性と効率性の課題という話もありました。個人的には、せっかくオープンライセンスで出すのに、ライセンス非互換の問題が出る可能性のあるライセンスを作るのは、本末転倒ではないのかと思います。データは組み合わせて威力を発揮するケースも多いわけで、そういう意味ではオープンソース以上に互換性問題は気にしたほうがよいのではないでしょうか。

国や地域によって法律が違うので、統一性の課題も紹介されました。これはオープンソースライセンスでも同じですが、GPLなどでは英語が正式なもので、日本語訳はあくまで参考という位置づけに対して、CCではただ翻訳するだけではなく、国や地域の法律に合わせて文言を変えていた、ということで頑張りぶりに感心させられます。4.0ではそのようなことはしないようですが。

イギリスのオープンガバメントライセンスなど、更に読みやすい、手軽なライセンスも出てきているそうですが、法的に有効性が弱いかもしれないという議論もあるそうです。読みやすくても法的に不安があれば困るわけですが、そのあたり気になりました。

CCライセンスを適用した作品の使い方ではflickrを例に、CC-BY 2.0 Generic版が適用されるケースを紹介されました。ライセンス文を読んで求められることを列挙されていましたが、「ライセンスに関する但し書き」や「免責事項に関する但し書き」が必要という点は気になりました。もし長い但し書きがあると大変ではないのかな?と思いましたが、4.0では変わっているそうです。改変したケースではライセンス表記は不要になるという話も、考えてみれば当たり前ですが、なるほどと思いました。(別にCC-BYライセンスにしても問題はないですが)

ガバナンスでは、開催されたワルシャワ・サミットからスタートしたCC4.0の策定される流れを伺いました。広く意見を求めてWikiで集約するなどオープンなプロセスだそうです。

Q&Aタイムでは様々な話題が出て、ほとんど忘れてしまいましたのでメモから拾ってみます。CC3.0日本語版が出なかった経緯や、ドイツ、オランダの件ではCCが狙った通りの効果は認められた判例が出たこと、パリ市のパリデータではCC-BY-SAに近い独自ライセンスが適用されていること、政府webサイトに公序良俗規定が入ってしまって残念だったことなども記憶に残っています。 詳しく説明すればするほどオープンにするのが難しくなるのではという議論もあるそうですが、ごまかして進めると後で問題になりそうです。 情報公開条例をつかって入手して著作権が発生しないデータなどは公開できるのではという話、オープンデータにすることによって民間とのコラボレーションをどう進めるか、公開されたオープンデータをどうコストをかけずに更新していけるか、などの議論もありました。 いまオープンデータになっているのは実はすでに公開されていたデータがほとんどで、ライセンスとメタデータはついたが、それだけでイノベーションを期待するのは虫が良すぎるのではないか、という話もあって、どのようなデータなのかを見てみないとわからないなと思いました。

政府などのオープンデータカタログがそのままで使いやすい状態でもないわけで、横ぐし検索、独自タグなどのオルタナティブなものを開発するのはありだという話は、今後オープンデータ京都実践会でも考えてみたら面白いかもしれません。

なお、オープンデータ京都実践会では、京都・岡崎で4回目となるウィキペディアタウン+OSMマッピングパーティーを12月7日(日)に予定しています。