Shinji Enoki's blog

LibreOfficeの話題を中心にする予定です

6月にLibreOffice mini Conference 2014 Tokyo/Japanを開催しました

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2014年6月7日(土)に東京・神保町のIIJの会議室をお借りして、LibreOffice mini Conference 2014 Tokyo/Japan(以下ミニカンファレンス)をLibreOffice日本語チームとして開催しました。もう2ヶ月以上たってしまいましたが、後で思い出せるように記録を残しておきます。

日本でのLibreOfficeミニカンファレンスは昨年に続き2回目です。今回のテーマは「みんなでLibreOffice開発者になろう!」として主に開発者にフォーカスしたものでした。私はスタッフとスピーカーの両方の立場での参加しました。

前日から雨がよく降る中、約30名があつまり、LibreOfficeのビルドを中心にQAやマクロのセッション、4本のLTで盛り上がりました。特にビルドのチュートリアルは実際に手を動かす実践的な内容で、私も勉強になりました。参加者は他のOSSプロジェクトで活躍されている方も多く、質疑応答などでの議論もビルド環境をコンテナ化してみてはという話がでるなど興味深いものでした。また、懇親会にも13名が参加して、夜遅くまで盛り上がって遠方の人は帰れたのか心配になるくらいでした。

会場を提供くださったIIJさん、スピーカーや参加者の皆さん、他のスタッフのみなさん、ありがとうございました。

イベントについては、小笠原さんによるtogetterまとめブログもご覧ください。 ブログの写真については主に近藤さんの撮影されたものを使わせていただきます。

谷さんによる「LibreOfficeマクロのサンプル紹介と解説」では、日経Linuxに連載されたサンプルマクロをについて、どんなことを考えていたのか、なぜそれにしたのか裏話を紹介されました。ドヤ顔の似顔絵が表示されるなど、サンプルはツボをついてきて面白かったです。

発表資料はこちら また、サンプルファイルはこちらに公開されています

安部さんによる「LibreOffice開発版のビルドのチュートリアル for Linux/Mac OS X」では、LibreOfficeLinux,Macでビルドする場合の説明とmakeまでの説明を聞きながら各自が手元でやってみる内容でした。事前に予習してらっしゃる方も多かったようです。私は手元のDebianにはビルドできる用意をしていなかったのですが、パッケージを入れたり、gitでcloneして試すことができて、大変わかりやすかったです。後で聞いた話では、ミニカンファレンスの最中にビルドが完了した人もいたようです。

レジメはこちらスライドはこちら

小笠原さんによる「LibreOffice開発版のビルドの基礎 for Windows」では、以前に関西LibreOffice勉強会でお話された八木さんのプレゼンを引用しつつ、実際に実際にビルドしてハマったところを紹介する内容でした。LibreOfficeWindowsでのビルドは面倒くさいという話はよく言われますが、大分楽になっているようです。

交流タイムでは4本のLTが行われました。 中本さんによるLTでは、OpenOffice.org時代のビルドが大変だった話や第1回のOpenOffice.orgカンファレンスに高校生として参加して(英語で)発表したことなどを紹介し、青春を捧げたことが現在にもつながっているというお話でした。私がOpenOffice.orgで活動するきっかけは2008年に中本さん、いくやさんと関西OpenOffice.org勉強会を立ち上げたことですので、懐かしく感じました。

発表資料はこちら

小笠原さんの「EasyHacksについて」では、LibreOfficeの開発への敷居を下げるために作られている、簡単にできそうなリストであるEasyHacksについて紹介がありました。

小野寺さんによる「pkgsrcを使った*BSDでのLibreOffice 4.2のビルド」では、以前にNetBSDLibreOfficeのビルドできるようにされたというプレゼン資料は見たことがあったのですが、その他のBSDFreeBSDOpenBSDなど)でもビルドできるところまでいけたそうです。Javaまわりは外してビルドしているそうで、そのあたりは面倒なようです。私は普段BSDを使うことはあまりなくて、知らないことが多くて面白かったです。

私は「品質を高める活動に参加してみよう!」と題してLibreOfficeのQAの現状についてをお伝えしました。QAのプロセス自体は他のOSSプロジェクトと大きくは違わないと思いますが、LibreOfficeのQAについてあまり情報がないと言われることもありましたので、お伝えできてよかったです。ただ、正直もう少し調べたかったのですが、ひと通りのお話になってしまった点は残念です。QAに興味を持ってちょっとしたことでも関わってくださる方が出てきていただけるとうれしいです。私自身も手を動かせていませんが、今年はQAにも少し時間を使っていきたいです。

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今回は、セッションやLTを募集(Call for Paper)する試みでしたが、日本語チームのメンバー以外からも谷さん、小野寺さんにお話いただき、どちらも面白いお話でした。特にLTはまったく想定していない方からも応募が複数あってよかったので、個人的には次回もセッション・LTを募集するとよいかなと思っています。

また、前回はオープンソースカンファレンス2013 Tokyoの会場の一角をお借りして行ったのですが、会場確保からすべて独立したミニカンファレンスとしては始めてでした。今回はIIJさんがちょうど移転されるタイミングで、お借りできるかどうか途中までわからず、複数の会場にあたったり、現場担当の大森さん、小笠原さんの負担は大きかったと思います。

スタッフとして当日動けたのは5名のみ(大森さん、小笠原さん、安部さん、近藤さん、榎)で、最低限はカバーできるものの、セッションも担当するメンバーも多く、中継(Ust)などをする余裕はありませんでした。当日のセッティングではIIJの社員の方に随分助けていただいきました、ありがとうございました。次回は当日スタッフを募集するのもありではと考えています。

私は負担が軽い方だったはずですが、翌日になってから相当疲れていたことを実感しました。 活発な意見交換や盛り上がりもありましたし、日本語チーム内でも今後もミニカンファレンスを継続的に開催していこうという議論になっていますので、興味を持たれた方は、次回以降も参加いただけるとうれしいです。

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